DRAKE社のR-4C受信機   火入れチェック  ミクサーについて  R-4Cの改造記事
Sメーター  最初に改造するのは?   とても参考になる外国のサイトはWB4HFNのThe DRAKE Pageです。

Poor Man's Collins と自虐気味に語る諸氏が多いとお聞きします。
この事は一寸違うと思います。貧者の・・・と言うならMosley社の受信機CM-1がそうではないでしょうか?
受信機としての構成が全く異なります。コリンズ方式というならモズレイのCM-1がコリンズタイプですから。

R-4シリーズは局発がプリミクサー方式のハイフレのシングルスーパーが基本構成で低周波数のQ'5erを付加した構造です。
R-4Cに至るまで基本的には回路構成は殆ど同じです。しかし さすがにR-4Cは一寸変わった回路構成となっています。
画像は左が初期型のFront View  右のが後期型のFront Viewと言われています。
違いは判別出来ませんがただ一つ違いがMODEスイッチ(メインダイアルの直ぐ左のツマミ)の選択が4つから5つに増えています。
即ち 後期型では帯域切り替えをモードに応じて AM/SSB/CW1.5/CW0.5/CW0.25の五段階から選択出来るそうです。

Early Model

Late Model
メインのダイアル左横のモードSWを観察すると
明らかに違いがわかります。

R-4C 初期型と後期型の相違点について

DRAKE社の受信機 R-4C には前期型と後期型があるそうです。モード切り替えが4種類と5種類の違いだけではないです。
あくまでも回路図上での違いですが幾つかについて記述します。
尚 一説には前期/後期の間にもう一つ中間期型もあったといわれていますが。
前期型 後期型
1st Mix 6HS6で高周波信号をG1に局発信号をKへ注入。 6EJ7で高周波/局発ともG1へ入れています。
1st IF Amp 6BZ6/Accソケット/FET Mix G1に信号G2にBFO信号を。 FET/ACCソケ/6BE6 G1に信号G3にBFO信号を。
Xtal Filter CW2/CW1/SSB/AMの4段階切り替え。 AM/SSB/CW1.5/CW0.5/CW0.25の5段階切り替え。
2nd IF Amp 6BA6でKにXCO信号 G1に信号を。 6EJ7で信号/XCO信号共G1へ接続。
T Notchi Filter は単独で使用。 CWモードの時L/Cの並列同調回路のピークフィルターを併用しています。
半導体回路用のAC電圧は12Vらしい。 トランスを巻き替えて14Vとした。
2nd Mixer 6BE6 のプレート電源は普通。 2nd Mix 6BE6 のプレート電源にZDで安定化してある。

他にもあるかも知れませんが見つけられません。

最近入手したR-4C

運よく入手出来たR-4C受信機 格安でしかも後期型です。MODE スイッチが5段階切り替えである事から判断しました。比較的綺麗です。
Drake R-4C Front View
大勢の人が見慣れた画像です 実機を撮影しました。
火入れ前の正面パネル画像。

ケースの止めネジ12個が全部無い状態です。
簡単な火入れチェックでは大略動作してる様です

ヘッドフォーンジャックはR-4Bでは左横でしたが
R-4Cではご覧の様に正面にあります。
Drake R-4C Rear View

背面真ん中の下にある青い色のフィルターは1.5kHz幅です。
右側の四角いカバー内には水晶片は何にもないです。
RCAジャックに或る筈のショートプラグが無いので自作しました。
Drake R-4C Top View

右側VFOの上で電源トランスの下に或る筈の
ノイズブランカー基板はナシ。
見えている大きなTRはオーディオの終段です。
又 トランスの傍にある黒い色の基板はキャリブレーター。
25Kc/s毎にマーカー信号が出るそうです。

真ん中下の方に見るIFT状の部品は50Kc/sのIF段にある
T Notch フィルターのコイルケースです。
Drake R-4C Bottom View

真ん中上の長方形のが標準設置のSSBフィルターでMODEスイッチを
SSBに設定すると選択されます。
その他の設定時は背面にオプションで取り付けると選択出来ます。
この実機ではCW 1.5に相当するフィルターが設置してあります。

尚 SSBフィルターの後ろ 向こう側 に見える赤い物は
MUTE ジャックに差し込んだショートプラグです。
これが無いと受信機として動作しません。

真ん中下 手前の正面パネル裏 には50Kc/sの
BFO発振回路の同調バリコンがあります。

火入れチェック

実機は想定より綺麗でクリーニングはしなくても良かったのでいきなり電源(AC100V)を投入しました。
先人は最初は100Vではなくスライダックを使って低い電圧を・・・などご忠告なさりますが 低電圧では動作しないので 私はいつもいきなり商用のAC電源をかけます。異常があればすぐ分かります。
もっともこの機器の場合 背面のMUTEジャックにショーティングプラグが必要ですが。その結果を記述します。

信号源は内蔵のキャル信号 チェックはヘッドフォーンで確かめました。
その結果は 大略OKです。 バンドスイッチ系が接触不良があり 3.5メガ帯7メガ帯以外の動作が確認できませんでした
その他の ファンクションSW/モード切り替え(AM SSB CW1.5はOK  その他は実装ナシ) ノッチ動作OK  パスバンド動作もOK
オーディオゲインの軸がガタがある、AGC切り替えは不明 RFゲインはOK プリセレクターOKSメーターの振れも大略OK.

要するに相当古い機器にしては大略OK動作で 不良ではなく 自分で故障個所を直せる範囲 といえます。 超お買い得だったです。
その後 バンドスイッチを何回か回転させて動作させたら3.5/7/14/21/28メガ帯の各バンドでキャル信号音を正常受信出来るので
1.8メガ帯を除いて動作出来ている事が確認できました。1.8メガ帯は水晶片が必要です。

ミクサーについて

R-4Cには全部で4個のミクサーがあります。信号の入力方法が独特で次の通りです。
1.1st ミクサー V2 6EJ7 G1に高周波信号と局発信号を同時注入して第一IF信号として5645Kc/sを取り出しています。
2.2nd ミクサー V3 6BE6 G1にSSB/CWモードでは5645Kc/sの第一IF信号をG3 に50Kc/sのBFO信号をいれて第二IF信号の
  5695Kc/sを取り出し AMモードの場合はBFO信号ナシでそのまま5645Kc/sのIF信号を取り出しています。
3.3rd ミクサー V4 6EJ7 G1 にSSB/CWモードでは5695Kc/sの第二IF信号と5645Kc/s のXCO信号を,
  AMモード場合には5645Kc/sの第二IF信号と5595Kc/sのXCO信号をミックスしそれぞれ50Kc/sの第三IF信号を
  取り出し検波回路へ となっています。
そして4th ミクサーとして プリミクサーV6 6EJ7のG1にXCOの信号を カソードにVFO信号を入れて局発信号を作っています。
他の例えばハリクラの受信機SX-146の様に三極管を使ってグリッドに高周波信号を入れ カソードに局発信号を・・・の方法ではないです。

幾つかのR-4C 改造記事

R-4C 受信機を改造してより高性能化する事に関する雑誌の記事です。
いずれの改造内容も実施すれば有効ですが 結構馬力が必要でしょう。

左の二つの記事は 1977年12月号のHAM RADIO誌に掲載されました。
右の記事はQEX誌 2006年1/2月号の改造記事です。

特筆すべきは二番目の記事でR-4B受信機に応用した内容です。
帯域の狭いフィルターを上手く使う改造でFT-101Z/FT-901等のWIDTH CONT機能と同じ様な
構成とし選択度を改善する内容です。 R-4Cに取り入れてある手法です。

R-4Cを改造するなら一番最初に1st Mixer直後のルーフィングフィルターを帯域が狭い部品に換装すべき。
換装してもAMモードの帯域を決定するのでむやみに狭くしても意味がないですから
CW専用機に改造し切り替えリレーを併用して帯域500c/s位のフィルターを使う方法を勧めています。

S メーター


受信機の必需品としてS メーターがあり メーカーによって回路方式が大きく異なります。

例えば FT-101Z/FT-901なんかでは発生したAGC電圧を簡単な電圧計で読みとる方式ですしSP-600では検波電流を電流計回路で・・です。

R-4Cではどうでしょうか?
回路図から抜き出して書いたのが左図です。

実機では AGCで制御される50KhzのIFアンプV5のプレート電流の変化を AGCで制御されない1st IF アンプV2/V4の電流と比較して電流計を振らせる回路となっています。

実際には夫々のアンプのプレートの間にメーターを渡して電圧の差で発生する電流でメーターを振らせています。

この構造は有名なコリンズのR-390AのS メーター回路も同じです。
要するにブリッジのバランスが崩れることを利用している訳です。

最初に改造するのは?

前述の改造記事では真空管の発熱を抑えるために少なくともオーディオ部分を半導体化する としています。
その為に ある別の記事では380系のICを使って改造する記事が散見されます。
この方法は最も簡単で効果があるのでしょう。
ノイズブランカー基板がある(又は 有った)場所に取り付ける構造が簡単です。
即ち 音量設定VRの中点とスピーカー端子間に改造回路の入力と出力を置き換えるものです。
但し もしかしたら直流電源として+/-12V程度が必要になるかも ですが。
好事家の間では 特にCW QSO愛好家では 兎に角 1st IF の8KH/z 幅のフィルターを500Hz位のフィルターへ先ず換装するのが第一らしいです。しかしゲインが下がるのでゲイン補償のアンプを追加する必要があるとの事です。又 換装しなくても切り替えられる構造とすれば良いとも言ってます。