マーカー・オシレーター

標題のマーカー・オシレーターはクリスタル マーカー・オシレーターとも言いますが単なる水晶発振器の事です。
但し その出力信号には沢山の高調波を含んでいる事が重要で 局部発振器などには適してはいません。
現在のトランシーバーの様に受信している信号の周波数が簡単に読み取れる機器ではなく 往年の様にアナログダイアルだけだった短波受信機で必要な回路とか機器だったわけです。
そこでどんな構造だったのか観察してみて昔の人達の苦労を偲んでみましょう。
1954年10月号のラジオ技術誌の表紙です。
写っているユニットが本文で記述があるマーカー・オシレーターです。
FT243型の1000kHzの水晶発振回路を組みもう一つのFT243型の100kHz水晶発振回路出力を6BA6のSgへ印加して100kHzおきにマーカー信号を50MHz位まで発生するユニットだそうです。
使い方は次の通りです。
例えばダイアルを9570kHzに合わせるには 先ず1000kHzの信号の高調波を受信して9MHzを得ます。
次に100kHzも発振させると僅かな周波数偏差があるので低いビート信号が100kHz毎に聞こえるそうで9000kHzから数えて5番目と6番目の間の真ん中より少し上の方へセットすれば大略9570kHzの位置となります。
大略なので正確ではありませんが実用的でした。
又 当時の受信機はドリフトが大きかったので直ぐに合わせ直す必要がありました。
現在の様に1kHz刻みで読み取れる様になるには後年コリンズ社開発のコリンズ方式を待たねばなりませんでした。
本文中にあった回路図です。
1000kHzと100kHzの水晶発振器となっています。

電源を投入すると1000kHzだけ発振し次に右側にあるスイッチを入れて100kHzを発振する回路です。
100KHzの信号は6BA6のSgへ印加して1000kHz信号が変調された様な信号になります。
そして100kHzの10倍が必ずしも1000kHzピッタリではないので出力信号を受信すると僅かな周波数差でビートが発生し容易に聞き分けられる寸法です。

この記事の作者は沼田 銀一という方です。
少し古いですが八重洲無線のFT-101ZDの正面パネル面です。

赤い矢印の先にあるトグルスイッチがMARKとなっていてマーカー発振器のオンーオフスイッチです。
25kHzおきに信号が発生するマーカーでVFO系の信号とゼロビートをとりアナログダイアルをこの位置に設定する訳です。
主としてアナログ目盛の確度を決める手法でした。

又 周波数カウンターもそれなりの表示となっています。
この様な場合にはアナログ目盛は不要でしょう。

尚 この機器はモードによってカウンターの表示が少しずつ違い これはこれで極めて便利です。


又 現代では周波数を測定して表示する概念は無くなっていて 予め設定した値の周波数を発生するシステムで信号系を制御していますからマーカー信号は全く要りません。

例えば同じ八重洲無線の最高級機だったFT-ONEにはMARKのスイッチはありません。