FT-901D CW送信波形チェック    

送信信号はドライバー管12BY7Aのプレートでチェックします。
実際には終段管のグリッドから背面パネルのRF OUTジャックへ出ていますから ここから同軸ケーブルで直接オシロへ接続すれば波形が観測可能です。
オシロのトリガー信号として内部に設置してあるキーヤー基板の出力端子を利用しました。 信号自体はコレクター出力でマイナストリガーとなります。
CW送信波形観測結果です。カメラは花火撮影モード
この波形は短点一個を送出した時のもので案の定 いわゆる頭切れがあります。
これはキーヤーのタイミングから信号送出までのタイミングが適切でないからです。
二個以上の連続信号の場合は二個目から正しい波形になりますが。
この現象はMOX状態では見られないのでこの事が頭切れを無くすヒントになります。
画像は下側の波形がキーヤー出力でオシロのトリガーとしています。
送受転換リレーのドライブ信号と同じタイミングです。
上の波形がRF OUTです。
短点信号の真ん中あたりから波形が出始めています。約30mSも遅れています。
従って極端な例ではJ信号がOとか S信号がI信号になったりします。
この現象を解消する為には短点信号より前に信号を発生しておきキーヤー信号で切り取るのがが正解です。

具体的にはキーヤーで受信から送信へ転換すると同時にキャリヤーを発生し、ある程度の時間が経過してから送信回路のバイアスを送信状態へするのが正しいタイミングです。
以上は送出する時のタイミングで終わりのタイミングはこれらの丁度逆のタイミングで動作させると正しいタイミング波形になります。
すなわちキーヤー信号で送信信号を出し終えて後に送信から受信状態へ戻します。

具体的には次の画像のタイミングが理想です。
理想的なCW信号送出のタイミングとは左の画像の通りです。

キーヤー信号で送信状態にし同時にローカル信号を発生します。
適切な遅延時間(D1)が経過したらアンプ部のバイアスを送信状態にして電波を発射します。
次に符号を出し終わった時のキーヤー信号で送信部のバイアスを小さくして送信を止めます。
適切な遅延時間(D2)が経過したら送信から受信に戻しキャリヤーを止めます。
この様なタイミングで送受転換を行えばCW信号の送出波形が正しいものになります。
尚 二番目のタイミングで送信部以外の状態のすべての送受を切り替えることが肝心でその時にはキャリヤーはまだ発信状態にしておきます。
以上は送信部が球の場合で、グリッドバイアスを制御しますから波形が綺麗に出ます。
半導体回路の場合には少し異なり波形の立ち上がりや下がりが早いのでクリックがでるかも知れません。

これ等を実現するには適切にタイミングを設定できる何らかの回路が必要でCW Keying Interfaceを設置する事でやれます。

積極的に頭切れを無くしたい時は

トラシーバー等でCWモードで受信から送信状態へスイッチした時に最初のドット或いはダッシュに頭切れ現象があって信号が歪んだり酷い場合にはトトツーがトツーになったりする場合があります。 これを英語圏では Start Up Distortion と言うそうです。 
ここで紹介するQST誌の記事は本体を改造する事なくある程度解消する外部機器についてです。
記事ではその原理と機器製作について詳細に記述しています。 
QST誌1987年4月号の51ページ〜53ページにあります。
内容は 本体のキーラインとPTTラインに時間差を設けて別々の信号を加えて頭切れを無くすと同時に少しウエイトをかける機器の製作記事です。
要は上に示したタイミングで発生した信号を夫々のコネクターへ印加しタイミングを調節すもので回路は簡単ですから実機に簡単に応用可能です。

具体的には次の様にすれば良いでしょう。
キーヤー信号の頭で先ずPTT回路をトリガーしアンプ系のバイアス以外の全ての回路を受信から送信状態に切り換えます、 同時にD1に相当する遅延時間発生回路を動作させ初めてバイアスを正規の値にし電波を発射しま
次にキーヤー信号の終わりでアンプ系のバイアスをカットオフにして電波の送出を止めると同時にD2に相当する遅延時間発生回路を動作させ全ての回路の動作を送信から受信に切り替えて一連の動作を終了します。

当方が所有しているFT-901Dの場合は内臓のキーヤーの信号で全ての回路の動作を受信から送信へ切り替えていますからそのままでは実現出来ません。
すなわち内臓キーヤーの動作はやめるか一旦外部に取り出し遅延回路を設置する方法になるでしょう。