51J-4 のバンドチェンジと同調方法について

バンドチェンジと同調方法のメカ的な構造は51J-4独特ではなく51Jシリーズに共通の筈です。下の画像はマニュアルから抜粋したものです。
ギヤーが沢山ありますが実機はこんなに立体的ではなく前後が約30mm位のパネル裏面の狭い箇所に収まっています。
右側が主としてバンドチェンジ関係 左側が同調メカ関係 上奥に、実際には背面パネル付近に高周波コイル群や可変周波数のIF段などが配置されています。

       メカの動作

バンドチェンジツマミの役目
バンドチェンジ動作は主として右側にあるギヤー群が司っています。 具体的には次の通りです。
バンドチェンジノブは図の真ん中下にある大きくて歯数が多い三枚の歯車等を廻して固定定数の回路を選択するものとバンド毎に可変のコイル群を切り替える部分とに分かれています。
バンドチェンジツマミは半回転で各バンドを切り替え(これが結構重い上に普通と異なりバンドを上に変えるには左回転です)、先ず右端にある水晶発振回路の水晶とコイルを切り替えます。
次にその隣にある第一中間周波数(可変周波数の)コイルをバンドの奇数と偶数の違いに応じて切り替えます。
更にバンド毎に相応するコイル群 高周波増幅段の前後段、二か所あるミクサー段のコイルを切り変えるスイッチ(REAR PLATE R-F SWITCHES S101 THRU S107 と記述がある部分)を動作させます。そしてバンドチェンジツマミの回転をワイヤー仕掛けで左上にある円筒(MEGACYCLES DIAL DRUM)を相応の角度だけ回転させてバンド表示としています。
尚 バンドスイッチとしてはバンド15までは切り替え接点があって三組のコイルを切り替えていますが 16〜30については接点は一個しかなくバンドスイッチを回転しても動きません、と言うよりOVERTRAVEL COUPLERという部品でいわゆる空回りする仕組みでコイルを切り替えてる訳ではない事に注目です。
ここまでがバンドスイッチの第一の役目です。
同調機構の動作(TUNING SYSTEM)
TUNINGは左端にあるキロサイクルダイアルツマミを回転する事によって精密な同調操作を司っています
メインダイアルツマミ(KILOCYCLE DIAL KNOB)はVFOを直接駆動し10回転で1000KC(1MC)をカバー即ち一回転=100KCで100度目盛上で1KCが直読可能とし同時に回転比を1/10に落としてワイヤー仕掛けでメガサイクルダイアル上の横行ダイアルの指針を左右に移動させて100KC単位の表示としています。
そして軸を延長し途中差動歯車機構を経由して最終的に高周波コイル群のコアーを上下させて精密に同調をとる構造となっています。
その時 コアーの移動範囲が三つのバンド幅に対して1-2-4の変化比となっていて4メガ 8メガ 16メガの周波数範囲を確保している訳で上のバンドへ移る度に移動距離が小さくなっています。

そこでここからがこの無線機の真骨頂と言える部分です。
即ち バンドスイッチでステップ状に移動された各バンド、各コイルに対するコアー位置からVFOツマミの回転に応じて更に精密にコアーを動かしますがバンドチェンジするとその時のコアーの位置を維持する事が(VFOの回転が途中であっても)必要です、そこで活躍するのが差動歯車機構(DIFFERENTIAL GEAR SYSTEM)で極めて巧妙なメカになっています。
その部分は 二組の歯車機構 SUN GEAR, PLANET GEAR 及びDETENT GEAR とその他の大小の歯車を組み合わせた箇所で明らかです。

以上の構造を薄い歯車を幾つも使用して狭い範囲のパネル裏に収納した構造は極めて複雑ですが当時のコリンズ社の技術者達の力に脱帽です。